全体公開記事:土量の変化と施工管理における重要性

建設現場では、土の掘削や盛土に伴う土量の変化が計画やコストに大きな影響を与えます。土量の変化を正確に把握し、管理することは、現場の生産性向上とコスト削減に直結する重要な要素です。本記事では、土量がどのように変化し、どのように管理すべきかについて解説します。

土の体積は、掘削前の自然な状態(地山)、掘削後のほぐした状態、そして盛土や締固めを行った後の状態で変化します。この変化は、土粒子、水分、空気の量によって影響を受け、施工の過程で体積が増減します。

例えば、地山(じやま)の状態で掘削された土は、ほぐされて空気を含むため体積が増えますが、再び締固めると空気が抜けて体積が減少します。このように、土の状態によって土量が変わるため、現場では常にその変化を計算しながら施工計画を立てる必要があります。

土の体積は、主に次の三つの状態に分類されます。

地山の土量(掘削前の自然な状態の土量)
ほぐしの土量(掘削して運搬するための土量)
締固め後の土量(最終的な盛土や締固め後の土量)

この三つの状態間で土量がどのように変化するかを把握することが、施工管理において不可欠です。例えば、地山の土をほぐして運搬した際には、運搬土量が増加し、最終的に締固めると体積が減少するという現象が見られます。

土量の変化率を計算するために、次の2つの指標が用いられます。

締固め率(C): 締固め後の土量を地山の土量で割った値。これにより、地山に対してどれだけの土量が締固め後に残るかを計算できます。
ほぐし率(L): ほぐした後の土量を地山の土量で割った値。この指標で、地山の土を掘削してほぐした際に、どれだけの体積が増加するかを把握できます。

この計算をもとに、土量の変化を予測し、どれだけの土を運搬し、盛土する必要があるかを正確に計画できます。

実際に、掘削された地山の土量が50,000㎥であった場合、締固め率C=0.9、ほぐし率L=1.2を用いて計算すると、締固め後の土量は次のようになります。

締固め後の土量:50,000㎥ × 0.9 = 45,000㎥

また、盛土量を充足するために外部から搬入が必要な場合は、同じくこの計算を用いて、どれだけの土を運搬する必要があるかを算出できます。例えば、盛土が5,000㎥不足している場合、その不足分を補うためにはほぐしの土量が次のように計算されます。

運搬すべき土量:5,000㎥ ÷ 0.9(C)× 1.2(L)= 6,667㎥

このように、土量の変化率を考慮することで、効率的かつ正確な土量の管理が可能になります。

土量の変化を正確に把握し、管理することは、施工現場におけるコスト削減や工期短縮に大きく寄与します。掘削や運搬、締固めの各段階で土量がどのように変わるかを理解し、正確な計算を行うことで、無駄のない施工が可能となります。現場での土量計算や管理の精度を高め、効率的な施工を目指しましょう。

 


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